オーシャン カジノ リゾート(Ocean Casino Resort)内にあるオベーション ホール(Ovation Hall)は、トップクラスのエンターテインメントとそれに伴う高い評価でその名声を築いてきました。同リゾートが、15年間使用してきたMeyer Sound「MICA」システムを「PANTHER」リニアアレイ システムへと刷新することを決定した際、その目的は、最新のスピーカー技術の利点を最大限に活用しつつ、会場特有の音響的課題を解決することにありました。

会場の課題と分析

オベーション ホールの約6,500平方メートルにおよぶ空間には、いくつかの設計上の課題がありました。センタークラスターの欠如、サブウーファーの位置変更、そして新設された映像用LEDウォールを避けるために低い位置に吊り下げられたPAシステムによって既存のフロントフィルではカバーできない音響的なギャップが生じていました。「スピーカーの音がどこで途切れ、どこから次のスピーカーの音が始まるのか、全く分からないほどシームレスな音場を実現したかったのです」とオーシャン カジノ リゾートのエンターテインメント プロダクション マネージャーであるブレア L. ハリス(Blair L. Harris)氏は語ります。「それこそが私達の理想とするデザインでした」

DBS オーディオ システムズ(DBS Audio Systems)の社長であるデイヴ ブロットマン(Dave Brotman)氏は、Meyer Soundのシステムに関する深い知識と、その会場が抱える課題に対する的確な洞察をもって本プロジェクトに臨みました。Meyer Soundのシステム オプティマイゼーション ディレクターであるボブ マッカーシー(Bob McCarthy)と連携し、ブロットマン氏のチームは会場の精密な計測を行ってデータをマッカーシーへ送信、マッカーシーはシステムデザイン&予測ツール「MAPP 3D」を用いて遠隔で設置シミュレーションを作成しました。設計が確定した後、ブロットマン氏はDBS オーディオ システムズのマイケル シュールソン(Michael Shoulson)氏、クリス トゥループ(Chris Trupe)氏とともに、オーシャン カジノ リゾートの音響・リギング担当スタッフと協力して設置作業を実行し、完全に新しいリギング用インフラを含むシステム全体をわずか9日間で構築しました。

洗練された低域カバーエリア

メインのフライング アレイは、片側あたり狭指向性のPANTHER-Lを4台、広指向性のPANTHER-Wを12台で構成されています。センターフィルにはULTRA-X80を1台使用し、フロントエリアは10台のポイントソース スピーカーULTRA-X40がカバーします。サイドフィルおよびVIPエリアには、ポイントソース スピーカーのULTRA-X80とULTRA-X82が配置されています。低音域については、片側あたり6台の2100-LFC低周波制御エレメントをグラデーション構成でフライング設置し、エンドファイア構成でグラウンドスタックされた16台の2100-LFCエレメントと組み合わされています。システムのプロセッシングはGalileo GALAXYネットワークプラットフォームが担い、システム制御にはGALAXY 816を5台、GALAXY 408を1台使用し、プライマリおよびセカンダリのMilan AVBネットワークを運用しています。

「このホールにおける最大の課題は、低域を均一にカバーすることでした」とブロットマン氏は語ります。「非常に横幅が広く、スロー距離が短い空間なのです。ボブが設計したシステムは、カバーエリアが素晴らしく、パンチの効いたサウンドも実現していました。それまで不足していた要素がすべて劇的に改善されたのです」

現地においてマッカーシーが、オープンな一般エリアから満員の状態まで、5つの異なるフロア構成に合わせてシステムのバランスを調整しました。その際、各レイアウトに最適なカバーエリアを確保するために、キャビネットごとの出力レベルを個別に制御する「シェーディング」という手法が用いられました。

パフォーマンスを追求した設計

ハリス氏は当初、エンドファイア方式のサブウーファー構成に懐疑的でしたが、その結果は疑いようのないものでした。「フライング配置された2100-LFCと組み合わせることで、会場全体に本当に優れた低域が響き渡るようになりました」と彼は説明します。「驚くべき効果です。舞台裏やモニター環境で常に悩まされていた定在波の問題も解消されました。低域の動きが激しい最近のショーでも、ベースの音程を一つひとつ明確に聞き分けることができました。PANTHERシステムのステレオ感や、音の立ち上がりにおける極めて高い明瞭度には非常に感銘を受けています」

「DBS オーディオ システムズのチームの仕事ぶりは完璧でした」とハリス氏は付け加えます。「納期を守り、予算内で確実に仕上げてくれました。ともに仕事をする上で素晴らしい人たちであり、優れた企業です」

このシステムは3月28日、スモーキー ロビンソンとオーケストラの公演で本格運用を開始しました。その後の数週間で、オベーション ホールはレニー クラヴィッツ、マティスヤフ、アメリカ)、コメディアンのボビー リーなど、多彩なトップアーティスト公演が行われました。ハリス氏によると、プシファーのFOHエンジニアが大量のプラグインを持参して現地に到着した際、彼はそれらをすべてオフにしたと言います。「ボブが手掛けたシステムの音を聴いた彼は『これらは一切必要ないね』と言い、コンソールの基本EQだけでそのままミキシングを行いました」とハリス氏は振り返ります。

コメディからヘヴィメタルまであらゆるイベントを開催する会場にとって、こうしたシステムの透明性は大きな価値を持ちます。「私達は大型ロックコンサート、コンベンション会議、ダンスパーティーから、弦楽アンサンブルや合唱団まで、あらゆる催しを開催しています」とハリス氏は語ります。「PANTHERはそのすべてに完璧にフィットします。クライアントやお客様にこのシステムをお披露目できることを、これ以上ないほど嬉しく、誇りに思っています」