The Black Crowesは今夏、通算10枚目のスタジオアルバム『A Pound of Feathers』を携え、全米およびカナダの41都市を巡る「Southern Hospitality Tour」で再びツアーを行っています。ツアーのサウンドを支えているのは、ベイエリアを拠点とするレンタル・インテグレーター会社「UltraSound」が提供するMeyer Sound のPANTHERラインアレイです。
あらゆる会場規模に対応するスケーラビリティ
UltraSoundのプロジェクトコーディネーターであるジェイソン・ミルズ(Jason Mills)氏にとっての課題は、3,000席から30,000席まで、さまざまな規模の会場に対応できる単一のシステムを設計することでした。「バンドはいくつかのアリーナで演奏するほか、主に屋外音楽堂での公演が中心です」と彼は語ります。「ツアーチームにとっては、システムをスケールアップするよりも、スケールダウンするほうが簡単なのです」
Meyer Soundシステムは、片側18台のPANTHERラインアレイ・スピーカーメインとし、大規模な会場でサイド席のカバーエリアを拡張するため、LYONラインアレイ・スピーカーをアウトフィル・アレイとして構成しています。低域の補強として、片側6台の1100-LFC低域コントロール・エレメントがステージ上にフライング配置され、さらにグラウンドスタックで12台が追加配置されており、すべてカーディオイド構成となっています。フロントフィルには6台のLEOPARDラインアレイ・スピーカーが採用されています。
ミルズ氏は、同じ会場で過去に行われたツアーのMeyer Sound MAPP 3Dファイルのアーカイブを活用し、柔軟なシステム設計に役立てました。システムエンジニアのデビッド・ウィリアムズ(David Williams)氏が、ツアー先での日々の微調整を担当しています。「彼は搬入前の朝に会場を確認し、すぐにMAPP 3Dを立ち上げて、その会場特有の課題に応じたシミュレーションを行いながら容易に調整できます」とミルズ氏は語ります。リギング作業も非常にスムーズです。「設営もスケール変更も簡単です。リギング担当のスタッフも何の問題もなく作業できています」と彼は付け加えます。
パフォーマンスとツアーの経済性の両立
ベテランのFOHエンジニアでありプロダクションマネージャーでもあるティム・“クエイク”・マーク(Tim “Quake” Mark)氏は、48年のキャリアの中で初めてPANTHERをツアーに導入しました。マーク氏にとってPANTHERは、音響性能と、年々厳しさを増すツアー運用のコスト問題の両方を解決するものでした。「PANTHERの軽量性と性能の高さに興味を惹かれました」と彼は言います。「現在のPAシステムの規模でありながら、重量を約9トン削減できました。これは燃料費の面で大きな助けになります」
サウンド面において、マーク氏には明確なこだわりがあります。「私はPA側ではなく、コンソール上で音を作り込みたいのです」と彼は語ります。「PANTHERは箱から出したままでも美しい音を出してくれます。他のシステムのように、あれこれ調整する必要がありません」また、PANTHERの一貫したカバーエリアの広さにも感銘を受けたと言います。「約30メートル離れたスタンド席に上っても、音はしっかりと届いています。それこそがPANTHERの素晴らしさです」ステレオイメージを維持するため、マーク氏はLYONアウトフィル・アレイを左右交互に配置する構成を採用しています。
ターゲットを絞った低域コントロール
カーディオイド構成の1100-LFCは、ツアーに求められる低域のインパクトをもたらすと同時に、ステージ上のサブウーファーのエネルギーを制御する役割も果たしています。「サブウーファーを正面や客席側へストレートに向けるのではなく、少し外側に向けて配置しています」とミルズ氏は語ります。「カーディオイドパターンであっても、そうすることでヴォーカルのクリス・ロビンソン(Chris Robinson)が立つ位置への低音の回り込みをさらに抑えることができます。彼はステージ上で余計な低音に悩まされたくないのです」
「私のニックネームは『Quake(揺れ・地震)』です」とマーク氏は語ります。「単なるアタック感を求めているのではなく、ズボンの裾が揺れるような振動が欲しいのです。私は常に、ベーシストと共にバンドをドライブさせている感覚でやっていますから」
彼によれば、PANTHERシステムは、彼が何十年にもわたるコンソール・ワークの中で築き上げてきた哲学を支えるものだといいます。「FOHエンジニアとしての私の仕事は、音を新しく創造することではありません。アーティストの音を解釈し、その空間で補強することです。それができて初めて、じっくりとミキシングに取り組むことができるのです」
「Southern Hospitality Tour」は、8月20日のカリフォルニア州マウンテンビューにあるショアライン・アンフィシアター公演まで続いています。

















