サスカチュワン州サスカトゥーンにあるコンベンション センター兼総合舞台芸術施設「TCU プレイス(TCU Place)」に、常設でカナダ初となるMeyer Sound TIGRAラインアレイ システムが設置されました。Meyer Soundのカナダ代理店であるゲアオーディオ(GerrAudio)から供給され、カナダのインテグレーターであるサファイア(Sapphire)によって施工されたこの新しいシステムは、同施設のメインホールである収容人数2,074人の「シド バックウォルド シアター(Sid Buckwold Theatre)」に導入されています。
今回更新された旧Meyer Sound M’elodieシステムは、長年にわたり同劇場の運用を支えてきました。システムの入れ替えを計画する段階において、テクニカル サービス マネージャーのデヴィン ファーガソン(Devin Ferguson)氏とオーディオ テクニシャンのニコラス ヘイズ(Nicholas Hayes)氏は、最新の技術を採用したシステムを選定の対象としました。
メーカー選定の決め手となった要求仕様
「まずはブランド名を白紙に戻しました」とファーガソン氏は語ります。「設計プロセスは『システムにどのような機能や性能が求められるか』というアプローチから始まりました。必要な要件をすべて網羅できるよう、さまざまなメーカーと設計について協議を重ねました」
アレイにおける指向性制御(パターン コントロール)は当初からの必須要件でした。いくつかのメーカーも一定レベルの制御を提供していましたが、ヘイズ氏は「TIGRAのキャビネットを使えば、フライングアレイ内部でカーディオイド制御を行うことができ、それが非常に魅力的でした」と語ります。
最終的な決め手となったのは、TIGRAが単一のキャビネットにもたらす包括的な機能の幅広い範囲でした。「TIGRAには、Meyer Soundが長年取り組んできた技術の集大成とも言えるエコシステムが反映されています。低中域のビーム制御やMilan AVBへの対応などがその例です」とヘイズ氏は語ります。「さらにTIGRAにはMeyer Soundの『GEN-1』プラットフォームが搭載されており、それらのDSP機能やネットワーク機能がすべて本体に内蔵されています。Meyer SoundのNebraソフトウェア プラットフォームと組み合わせることで、システムの動作状況に関するより高度な制御と詳細な情報を得ることができるのです」
「求めていた条件をすべてクリアしてくれました。サイズ・重量と出力、そして音質のバランスが理想的で、リミッターが作動するような限界に達することはまずないでしょう」
設置場所における物理的な制約も、この決定を後押ししました。「本当に軽量なキャビネットです」とヘイズ氏は言います。「より多くの場所へ設置することが極めて容易になり、その重量削減のおかげで、より長いアレイ長を採用することができました」
コラボレーションが形作られた設計と施工
ゲアオーディオはMeyer Soundおよびサファイアと協力してシステム設計を行い、サファイアが1月初旬の現地調査を経て施工を牽引しました。「非常に緊密な連携が行われました」とサファイアのパートナーであるベン バーレル(Ben Burrell)氏は語ります。「私たちはなんども打ち合わせを行い、プロジェクトを見直し、理想的な形に調整できるよう共同で設計に取り組みました。そして現場でともに意思決定を行い、TCU プレイスが求めていたパフォーマンスを実現することができました」
ゲアオーディオのテクニカル サービス&インダストリー トレーニング マネージャーであるイアン ロバートソン(Ian Robertson)氏が、施工2週目にシステムのチューニングを行いました。「ゲアオーディオの素晴らしいところは、製品に何を求めるかについて何度も議論を重ね、ニーズをすり合わせてくれる点です」とヘイズ氏は語ります。「またアフターフォローも手厚く、どのようなワークフローや設定が現場で効果的だったかを尋ねてくれます。エンドユーザーとして別のアプローチを発見することもありますが、ゲアオーディオは常にそれを柔軟に受け入れ、その知識を次に活かす上で非常に優れた姿勢を示してくれます」
なお、旧M’elodieシステムは撤去されることなく、TCU プレイス内にある約9,650平方メートルの可変型コンベンション スペースで開催されるイベント用として現在も現役で運用されています。
ディレイ スピーカーなしで会場全体をカバー
メインシステムの片側は、12台のTIGRA-Lと2台のTIGRA-Wスピーカーで構成されており、TIGRA-Wは左右のアレイの最下部にフライングされています。2100-LFC低域コントロール エレメントは、メインアレイの背後にカーディオイド配置でフライング設置されています。ステージ上にはフロントフィルとして6台のULTRA-X20ポイントソース スピーカー、アウトフィルとして床にスタックされた2台のULTRA-X40ポイントソース スピーカー、そして特別観覧席のカバーエリアの隙間を解消するため片側3台のULTRA-X22XPポイントソース スピーカーが配備されています。「ディレイ スピーカーを使わずに劇場全体へ音を届けることができました。これは実に驚くべきことです」とバーレル(Ben Burrell)氏は語ります。「キャビネット密度が高まったことで、より高度な制御と優れたカバーエリアが得られました」
多忙なロードハウスを支えるネットワーク設計
システムの最前段には、1台のGALAXY 816と1台のGALAXY 408で構成した、2台のGalileo GALAXYネットワークプラットフォームが配置されています。ロバートソン(Ian Robertson)氏は、アレイの片側につき1台のプラットフォームを専用割り当てにすることを提案しました。「そうすることで、万が一プロセッサーが故障しても、フェイルセーフが働きショーを継続できます」とヘイズ氏は語ります。「実際にそうなるわけではありませんが、プランBやプランCを準備しておけば、何かが起きた時でも全員がより安心して対応できます」
アレイはMilan AVBによる完全に冗長化されており、アナログ バックアップも備わっています。ツアー クルーは自前のコンソールを持ってこの劇場に乗り込んできます。「システムのフロントに2台のGALAXYを配置することで、Milan AVBであれアナログであれ、あらゆるコンソールの信号を取り込めるようにしました」とファーガソン氏は語ります。「現在ではホール内の複数の場所でパッチインが可能です。これによりニックや乗り込んでくるツアー クルーの作業が非常に楽になりました。今では『どうやったら実現できるか考えさせてください』ではなく、『もちろんです、対応できます。準備に3分ください』と言えるようになったのです」
Meyer SoundのIntelligentDCテクノロジーにより、電源と信号を1本のケーブルで伝送して特別観覧席用フィル スピーカーに給電しています。「このような場所のフィル用スピーカーにとって、まさに完璧なシステムです」とヘイズ氏は語ります。
「これまでのところ、素晴らしい道のりとなっています」とヘイズ氏は締めくくります。「このシステムは期待を上回る成果を上げています。TIGRAには、他のPAシステムでは一度も聴いたことがないような音響特性が存在します。シド バックウォルド シアターにおける再現性とカバーエリアは過去最高となり、サイトラインも改善されました。そのため、この新しいMeyer Sound TIGRAシステムおよびゲアオーディオ チームとともに歩む次の20年間を非常に楽しみにしています。

デヴィン・ファーガソン(TCU)、ジョン・ジェイコブソン(サファイア)、アレックス・ガーデナー(サファイア)、ベニー・グリーン(ゲルオーディオ)、イアン・ロバートソン(ゲルオーディオ)、ベン・バレル(サファイア)、ニコラス・ヘイズ(TCU)、カレブ・ノイフェルド(サファイア)、ロブ・トムリンソン(TCU)
全ての写真提供:Lynden Kidd













